6.富士山北西山腹の側火山群

北麓
コース
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側火山が際立って多い富士山

 側火山(そっかざん)とは、大きな火山体をもつ火山において、山頂火口(中心火口)以外の山腹や山麓で噴火が起きた場合につくられる小火山のことです。
 側火山をもつ火山は少なくありませんが、富士山は側火山の数が際だって多く、その数は70以上といわれています。さらに、その多くが山頂を中心に北西-南東方向に偏って分布し、分布限界が中心火口から15kmもの遠距離に及ぶという特徴があります。
 富士山の側火山の多くは、お椀を伏せたような形をしています。これは、噴火の際に火口の周辺にスコリア(気泡をたくさん含む暗色の火山れき)などの火砕物が積もってできた山で、火砕丘(スコリア丘)と呼ばれます。このほか、はっきりした丘にならずに帯状の盛り上がりや溝のような窪みの地形としてとして認められるもの、火口だけが列をなしているものなど、さまざまな形の側火山があります。

御庭火口列は富士山の側火山

 富士山北西山腹の標高2300m~2400m付近に、「御庭火口列」と呼ばれる側火山群が並んでいます。
 御庭火口列は、いまから約2000年前の噴火でできた割れ目火口です。かつての火口にあたる凹地の連なりと、溶岩のしぶき(スパター)が火口の周辺に降り積もってできた、なだらかな地形の高まり(スパター丘)が見られます。富士スバルラインの奥庭駐車場から遊歩道を山頂側に歩いていくと、火口の縁に堆積したスパターの断面が観察できます。
 天気の良い日に山麓方面を見下ろすと、本栖湖・精進湖・西湖の3湖や青木ヶ原樹海のほか、大室山や他の側火山群が北西?南東方向に並んでいる様子がわかります。

側火山の配列がしめすもの

 富士山の側火山は、北西-南東方向に偏って分布しています。さらに、富士山の山体そのものが、上空から見ると北西-南東に伸びた楕円形をしています。これらの方角の偏りは、富士山の地下にかかる力の向きと大きく関係しているのです。
 伊豆半島の土台は、今よりもずっと南方の海底で噴出した火山群によってできています。この海底火山の高まりがフィリピン海プレートの北上に伴って北進し、約100万年前に日本列島と衝突したのです。フィリピン海プレートは伊豆半島の両側にある駿河トラフと相模トラフで日本列島の下に沈み込んでいますが、伊豆半島は火山の熱によって暖められ軽くなっているために沈み込むことができず、本州を強く押し続けていると考えられています。
 このため、富士山付近の地殻には、伊豆半島に押される方向の割れ目ができやすくなっています。富士山のマグマが上昇する際につくられる割れ目も、北西?南東方向のものができやすく、結果として側火山の配列も北西?南東方向のものが多くなっているのです。こうした分布の偏りをもつ火口から溶岩流がくり返し流れた結果、北西?南東方向に長径をもつ楕円形をした富士山の山体がつくられました。


 御庭から北西側に少し下ったところに、御庭火口列とほぼ同時期に噴火した側火山「奥庭」があります。スバルラインの奥庭駐車場から遊歩道に沿って奥庭火山の地形を観察できます。
 遊歩道の途中に山小屋と食堂・みやげ物屋を兼ねた奥庭荘があります。奥庭荘の北側にある窪地が奥庭火山の火口であり、ここから御庭奥庭溶岩の一部が流出しました。また、付近には同時期に噴火した火砕丘が連なっています。
 奥庭遊歩道には小高い場所もあるため、紅葉にいろどられた初秋の富士山を満喫するための隠れたスポットとしても知られています。

周辺散策MAP

現地までの交通

富士山北西山麓の側火山は、「道の駅なるさわ」駐車場にある木製の展望台から観察することができます

「道の駅なるさわ」までの交通

河口湖発本栖湖方面行き約25分「富士緑の休暇村」バス停下車

バス

河口湖発本栖湖方面行き約25分「富士緑の休暇村」バス停下車

富士山北西山腹の側火山群の情報はここでも調べられます

■山梨県環境科学研究所 富士山・火山写真展HP

http://www.yies.pref.yamanashi.jp/kazan/pic/index.html

※HPに関する情報は、2009年2月現在のものです。HP製作者等の都合・事情等によって閉鎖・更新されるなど、ご覧になれない可能性もございますことをご承知おきください。

■交通などのお問い合わせ

鳴沢村役場 TEL.0555-85-2311