客員教授の野津憲治先生は、病気療養中のところ、7月28日午前0時43分に永眠されました。

2019年7月31日 水曜日

 本学に於ける野津さん(いつもこう呼んでいるのでここでも)の功績について簡単に紹介します。
東京大学を退職後の平成22年に防災総合センターの特任教授、翌23年に客員教授になっていただき、今日に至っており、地球科学の専門家として、結局10年間お世話になったことになります。
 その間、火山ガス等に関する分野で、防災フェロー講座の講義を通じて、本センターの人材育成プログラムを大いに応援していただきました。また、防災フェローの個別指導にも携わっていただき、何人かの防災フェロー人材を輩出していただきました。実は防災フェローの面接審査も手伝っていただきました。一般市民向けの防災講演会でも活躍していただき、沼津や伊東では1時間半の講演をしていただきました。
研究面で印象的だったのは、手石海丘での火山ガスの調査です。野津さんが代表の科研費が採択され、伊東沖の海の上で海底から出てくるガスを集める調査を、漁船をチャーターして行ったことです。梅雨明け直後の太陽にさらされながらの海上での野津さんの采配はみごとなもので、その時に採集したガスをその後にキッチリ分析し、まだ海底火山からガス成分が放出されている、ということをはっきりさせ、論文で報告されました。
 JST関連の外部会議にも本センター代表として参加していただき、現職教員の負担を相当に肩代わりしていただきました。毎年恒例の教授会とその後の懇親会では、野津さんがいなかったことはなかったという記憶・・・。
今から思えば、野津さんと話をしたのは1年くらい前で、野津さんのデスクがある教育学部の(間借り)客員教授室で、過去のスライドの整理をしておられた時が最後でした。最近、病気療養をしていることは知りませんでした。
いつでも穏やかにニコニコしている野津さん・・・。
本センターがまだ出来たばかりで、どういう方向に走り出すのかが定まっていない段階から我々のために奔走し、我々の発展を見てこられた野津さん。本センターの大恩人です。

  増田俊明(前防災総合センター長)