これまでの研究成果2008~2009年度

このページには本センター立ち上げ当時の関連教員による火山や豪雨災害についての研究成果がまとめられています。
これ以降の年度の取り組みは年報に収められています。年報・その他報告書等をご覧ください。

防災施策の検証

緊急地震速報の有効性の検証

 気象庁は2007年9月より緊急地震速報の一般向け提供を開始しましたが、その有効性は十分検証されたものとは言えません。本センターのサポート教員である教育学部の村越真教授と小山真人教授は、緊急地震速報が想定東海地震に対して有効であるかどうかを地震体験車を用いた心理実験によって検証しようとしています。これまで得られた代表的な成果として以下のものがあります。
村越 真・小山真人・石原寛子・鈴木吉彦・岩崎大輔・岩田孝仁(2008):緊急地震速報は本当に住民の退避行動を促進するか?―起震車を用いて東海地震を想定した検証実験―.災害情報,no.6,73-78.

富士山火山防災マップの表現方法の検証

 内閣府・国土交通省・総務省消防庁の3者を事務局とする富士山ハザードマップ検討委員会の3年にわたる作業の結果として,2004年6月に最終報告書と富士山ハザードマップ試作版が公開され、これにもとづいた住民配布用のマップが静岡・山梨県内の一部市町村で全戸配布されています。
 これらのハザードマップが本当に住民にとって理解しやすいマップであるかどうかを検証するために,本センターのサポート教員である教育学部の村越真教授と小山真人教授たちは、地元の生徒・学生・一般市民を対象としたハザードマップの読み取り実験を実施しています.これまで得られた代表的な成果として以下のものがあります。
村越 真・小山真人(2006):火山のハザードマップからの情報読み取りとそれに対する表現方法の効果.災害情報,no.4,40-49.
村越 真・小山真人(2007):火山ハザードマップの読み取りに対するドリルマップ提示の効果.地図,45,1-11.

噴火警報・噴火警戒レベルの有効性の検証

防災科学研究・相互連携の推進

火山研究

南里智之・福間博史・原田憲邦・安藤裕志・伊藤英之・枦木敏仁・山田孝(2008):現地野外データ解析にもとづく1926年十勝岳大正泥流の流下・氾濫堆積過程に関する研究,砂防学会誌,No.61,pp21-30

地震研究

伊藤英之・小山内信智・西本晴男・臼杵伸浩・佐口治(2008):地震による崩壊発生箇所と震度分布との関係.砂防学会誌,No.61,pp46-51

保健管理センターの防災への取り組み

加治由記・古橋裕子・松本百合子・元山章子・三谷一美・野上愛利子・里村幹夫・笠原英男・池谷直樹(2009):保健管理センターの防災への取り組み第二報
-DMAT支援隊静岡の設立に参加して.CAMPUSHEALTH46(2),pp.63-68.

土砂災害の簡易危険度評価

牛山素行・太田好乃(2009):地形分類図を活用した岩手・宮城内陸地震直後の土砂災害簡易危険度評価.平成21年度砂防学会研究発表会概要集,pp.22-23

地形認知と津波リスク認知

太田好乃・牛山素行・吉田亜里紗(2009):地形認知と津波リスク認知の関係について.災害情報,No.7,pp.101-110.

防災ワークショップの効果分析

 防災ワークショップ的な取り組みは多数行われていますが、その効果についての客観的な評価はまだほとんど行われておりません。正直なところ、この「効果検証」はかなり難しいと考えていますが、その一つの試行過程をまとめたのが本論文です。
牛山素行・吉田淳美・柏木紀子・佐藤聖一・佐藤庸亮(2009):非居住者を対象とした防災ワークショップの参加者に及ぼす効果の分析.自然災害科学,Vol.27,No.4,pp.375-385.

避難行動誘発のためのプログラム開発と検証

谷口綾子・藤井聡・柳田穣・小山内信智・小嶋伸一・伊藤英之・清水武志・西本晴男(2008):土砂災害の避難行動誘発のための説得的コミュニケーション・プログラムの開発と効果検証.平成21年度砂防学会研究発表会概要集,pp.188-189.pp.38-39.

火山研究

伊藤英之・吉田真理夫・小山内信智・清水武志(2008):2008年2月に桜島昭和火口で発生したFountaincollapse型火砕流.平成21年度砂防学会研究発表会概要集,pp.188-189.

東海地震震源断層の研究

近い将来発生が予想されている東海地震の震源断層のアスペリティ(普段かたく固着していて、地震発生時に強い地震波を出すところ)の位置を決めることは、防災面からも、また地震予知を目指すためにも重要なことである。従来は地震活動の消長から東海地震断層のアスペリティの位置が推定されていた。この研究では地殻変動観測から、面積の変化について地域的な違いがみられることがわかり、それが地震活動から推定されたアスペリティ分布から予想される変化と一致することが分かった。このことにより推定されたアスペリティ分布の信頼度が大きく向上した。

松村正三・里村幹夫・内海さや香(2008):東海地震のアスペリティの推定(東海地域の地震活動変化と地殻変動:その5).地震,第2輯,第60巻,第4号,267-277頁.関連記事[読売新聞][静岡新聞